質屋はお客様がモノを売るところ?
質屋と聞いて「ブランド品を売ったり買ったりするところ」を思い浮かべる方は少なくないと思います。過去に、大阪質屋協同組合で一般消費者を対象にアンケートを行った際に、20代~30代の方の過半数が「質屋はモノを売るところ」と回答しています。
最近の金プラ買取ブームの煽りか、店頭でも買取りの依頼が増えているので我々自身も「質屋は買取が本業か!?」と錯覚してしまうこともあります。
ですが、質屋本来の業務は物を質に預かってお金をご融資することなのです。国語辞典にもそう書いています。
融資という点では消費者金融など他金融と同じなのですが、その特殊な取引形態のため、日本および諸外国においても貸金業とは異なるものとして考えられています。貸金業との違いのうち、取引の開始と終了時に着目して比較してみます(ここでの他金融とは、銀行のカードローン、クレジットカードのキャッシング、消費者金融等の貸金業者のことです)。
質屋の特徴と他の貸金業者との違い
- (1)質物に対してご融資いたします。
- 利用者の信用力(返済能力)に対して融資をする消費者金融等とは違い、質屋は質に預かる物(質物)の担保価値に基づいてご融資します。したがって信用力を調査する審査はありません。逆にいえば、どんなに信用力が高い方であっても融資額は質物の担保価値の範囲に限られるのです。そのため、借り過ぎて土地等まで失うようなことはありません。
ただし、質屋営業法が定める通り、お客様のご本人確認をする必要がございますので、免許証、保険証、パスポートなどの公的な書類のご呈示をお願いしております。
- (2)取り立てや催促は一切ありません。
- 消費者金融等の場合、一定期間ごとに元金と利息を分割で返済していくことが多いようです。もしその返済が滞ったり返済できなくなってしまった場合、督促や取立があります。また、遅延損害金も請求されます。
信用情報機関へも延滞情報等が登録されるため、同機関を利用している他の貸金業者との取引が制限されることがあります。
質屋の場合、流質期限までに元金と返済期日までの質料をお支払いただけば質物をお返しして取引は終了します。万一、流質期限までに元金と質料をお支払いいただけない場合は、質流れ(流質)となり質物の所有権が質屋に移転し、これをもって質取引が終了します。お客様が特に流質の意思表示をしなくても流質期限が到来すれば流質になります。
流質期限前の督促・取立も致しません。
質屋→
流質期限までに返済がないと、質流れになり終了。
もちろん、取り立てなし
貸金業者→
期限内に返済がないと、取り立てや遅延損害金が発生。
- (3)お客様情報は店舗ごとに独立して管理していますので、他所に漏れません。
- 質屋の場合、質契約は流質時点で終了します。
ですから、期限切れで流質となった場合、元金と質料を返済する義務もなく、当然、取立てはありません。
また(1)で述べたように物に対する与信なので、仮に流質してしまっても、質物になるものがあれば再度ご融資することも可能です。
また、お客様の個人情報は店舗ごとに保管されますので、他店や他業者にご利用履歴が漏れることは一切ありません。
つまり、質屋は免許証等の本人確認書類と、担保となる品物さえあれば、信用力調査なしに簡単にお金が借りられるという大変便利なシステムなのです。
また、万が一返済できなくても担保となる品物さえ諦めれば、全てチャラになる、安全なシステムでもあります。
それが故、鎌倉時代から庶民金融として親しまれてきたのです。
貸金業との特徴的な違いは以上の通りです。
他にも貸金業とは異なる点が多いのですが、店ごとにお取引の条件が異なりますので詳しくは各質店でお尋ねください。
質屋っていわれてみると、知らないことの方が、とっても多いかも。。