質マガ入門編の最後として、みなさまにお得な情報をお届けします。それは、査定アップのポイントです。日々、実際に品物を査定している現役質屋から見たポイントなので、査定に持ち込む前にチェックしておくときっとイイことがありますよ。

　せっかくなら少しでも高く買い取って欲しい、預かって欲しい。みなさんのお気持ちは良くわかります。我々質屋にとっても、品物（商材）は生命線です。品物を買取って（または質流れになったもの）それをリセール（再販売）して利益を出す。品物をお預かりして質料を頂く。これが質屋のビジネスモデルですから、質屋にとっては品物がないことには始まらないのです。いまや、ライバルは他の質屋だけではありません。あちこちにあるリサイクルショップ、インターネットを通じて宅配買取りをするショップや、ネットオークションのような個人売買など競争も激しくなっています。そんななか、質屋も品物を確保するため、なるべく高く買取りたい、高く預かりたいと考えているのです。これはホンネです。

　

　なかには、店頭で呈示された査定値段をアップしてもらおうと、アレコレ交渉して粘るお客さまもいらっしゃいますが、双方に時間と労力がかかってしまいます。それよりも、これから紹介する査定アップのポイントをチェックし、事前準備していった方が効率的です。

　では、査定アップを勝ち取るにはどうすればいいのか？このポイントは「どれだけリセールしやすいか」です。質屋が買取ったり、お預かりして質流れになった品物の売却方法は「質マガVol.5 品物の行方」でご紹介したように様々です。どこで売却するにせよ、キレイで、状態がよい品物、不具合がない品物、箱、保存袋、保証書、説明書等の付属品がそろっているもの、時計ならば動作が正常なものがより高く売れます。汚れているもの、不具合箇所があるもの、動作が正常でないもの等はキレイにしたり、修理するなど時間とコストがかかりますので、その分、査定額からマイナスせざるを得ないからです。つまり、より購入時の状態に近いものほど高く査定してもらえると考えてください。それでは、アイテム別に具体例をご紹介していきます。

【バッグ・財布編】

★持ち込み前のお手入れで好感度、査定アップ！

　ご自身で出来る範囲の簡単なお手入れをして、より購入時に近い、きれいな状態にしましょう。チケットの半券、レシートや紙くずが入ったまま、あるいはホコリが詰まったままのバッグや財布よりも、お手入れが行き届いて、内側もキレイな品物の方が好印象なのは間違いありません。たまに、タバコの葉や、ガムを包んだゴミなどが入っていることもありますが、こういった場合はかなり印象が悪くなるのでご注意ください。
　どんなに大切に使っていても、髪の毛や糸くず、ホコリなどが残っているのは仕方ありません。 掃除機でゴミを吸い取り、柔らかい布で乾拭きをするだけで見違えるようになり、「大事にお使いですね」と好印象をあたえ、査定アップにつながることでしょう。でも、無理に汚れを落とそうとして、水拭きしたり市販の皮革専用クリームなどを使用すると、逆にシミになってしまったり、そのブランド独自の風合いを損なってしまう恐れがありますので、取れそうもない汚れなどは、そのままの状態でお持込みください。

★保証書や付属のストラップ、カギなどをお忘れなく

　ご購入された際の付属品を一緒にお持ち頂くと査定額アップにつながります。

　「箱・保存袋・ギャランティーカード（保証書）・ショップカード」などが付属しています。ブランドによっては、ギャランティーカードや直営店の販売証明書が無いとお取扱い出来ない場合もありますので、無くさないように大切に保管し、売却時に一緒にお持ちください。
　これらの付属品の他に、商品本体とセットになっている「ストラップ・カギ・ポーチ」などは絶対に無くさないよう、ご注意ください。商品とセットになっているはずのものがない場合は、マイナスせざるを得ません。ブランドによってはストラップ、ガキは別売りしておらず、修理扱いになったり、別注扱いになって取寄せに数カ月かかり、費用も高額になるものもあります。その場合は、より減額幅が大きくなりますのでご注意ください。

【時計編】

★汚れは軽く落とす。痛んだ革ベルトは交換しておく

　腕時計は使用するうちにキズがついたり、ブレスレットの間や裏ブタ付近にホコリや汚れがたまります。時計雑誌などに掲載されているように、歯ブラシ等でブレスレットのホコリや汚れを落としたり、真水で洗ってみる方法もありますが、防水時計でない場合、時計内部に水が入ってしまい故障する危険性があります。ですから、目立つ汚れを乾いた布で拭く程度にとどめてください。革ベルトの痛みや汚れが激しい場合は、ベルトの交換代金分程度は減額となりますので、新しいメーカー純正ベルトに交換してから買取依頼をすると減額を抑えることができます。

★箱、保証書、余りコマは忘れずに！

　時計の場合は箱、保証書、説明書を必ずお持ちください。ブレスレットのサイズ調整をした際の余りコマも必ずお持ちください。余りコマがなくて腕回りサイズが短すぎる場合は査定ダウンにつながります。また、金やプラチナを使用したものは1コマが数万円と高価になるので、不足した分だけマイナスされることになります。ですから、余りコマは大切に保管し、一緒にお持ちください。
　また、専用工具などのオプション品が付属している場合はこれらも一緒にお持ちください。

　保証書は保証期限が過ぎていても、その商品を証明する大切な書類となります。また、修理やオーバーホールの履歴がある場合は、その修理明細書や修理保証書を一緒にお持ちいただくと、査定アップにつながることがありますよ。

★動いていないものは、査定不可！

　腕時計は止まっていると電池切れなのか故障しているのか判断が付きませんので、大幅な減額または査定不可となることがほとんどです。
　電池式（クオーツ）の時計で、電池が切れて止まっている場合は、電池交換をしてからお持込みください。充電切れのソーラー電池式のものは、十分に光に当てて、充電してからお持ちください。
　また、機械式（自動巻き、手巻き式）の場合も動いていない場合は、修理（オーバーホール）してからお持ちください。
　例外として、18金やプラチナ製の時計の場合は、故障していても地金（18金やプラチナ）として買取りすることができます。高級時計の場合は、動いていると地金分以上の価値がありますので、高級時計の場合は修理してから査定に持ち込むことをおススメします。しかし、修理代が高くつくことも多いので、修理すべきか地金のまま売るべきかをお近くの質屋で事前相談するのも一つです。

【宝石・貴金属編】

★宝石はデリケート。正しいお手入れを。

　宝石は身につけて使用していると、どうしても皮脂や汗、ホコリ等が付着して、輝きが鈍くなってきます。お手入れしてきれいな状態にすることで、査定時の印象が上がります。ダイヤモンド、ルビー、サファイヤなどの一般的な石のついたジュエリーは、中性洗剤と毛先の柔らかい歯ブラシで丁寧に磨き、ぬるま湯でよくゆすいだ後に柔らかい布で水分を拭き取って下さい。オパール、トルコ石、真珠や象牙などは柔らかく（硬度が低い）水に弱いため、歯ブラシ等でこすったり、水洗いをすることは絶対にしないでください。これらは金属部分を乾いた布で拭く程度にとどめてください。
　尚、宝石は大変デリケートですので、しっかりした知識のもと、その宝石に適した方法でお手入れして頂く様お願いします。詳しくは、今後の質マガ「宝石編」でご紹介できるかと思います。

　ジュエリーを購入した際に付属している鑑別書、鑑定書があれば一緒にお持ち下さい。

　より確かな査定額を算出するための重要な書類となり、査定額に影響します。
　また、ブランドジュエリーで、ブランドの箱や保証書が付属している場合は、忘れずにお持ち下さい。これらが不足していると査定ダウンにつながります。

　ざっとですが、主要カテゴリーごとに査定アップのポイントをご紹介してきました。これら商品状態や付属品の有無の他に、査定額を決める要因として商品の人気、商品の経年度合があります。新作商品や人気商品は、当然査定金額も高くなります。「新しいうち、人気のあるうち」に手放すのも高額査定のポイントです！
　購入してから全然使用せずにタンスにしまっておいたので、「全く使っていない、新品同様状態です」と持ち込むお客様もいらっしゃいますが、どんなに状態が良くても旬を過ぎた商品は相場がダウンしています。また、保管しているだけでも、年数が経てばバッグの内側が湿気でベタツキだしたり、時計の場合は電池切れや液漏れが発生するなど状態も悪くなり査定額もどんどん下がっていってしまいます。
　いらない！使わない！と思ったその時に、是非お近くの質屋にご相談下さい。